派遣社員は残業しなくていい?知っておきたい残業のルールとは

公開日:2024/10/15

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派遣社員は正社員と異なり、残業に関するルールが異なる場合があります。残業を避けたい方や、適切な労働環境を求める方にとって、知識を持つのは重要です。今回の記事では、派遣社員が知っておくべき残業のルールや、残業時間に関する法律、適用される条件についてくわしく解説します。

派遣社員は残業しなくてもいい?

仕事をしているとどうしても残業したほうがよい場面が出てきてしまいます。

しかし派遣社員は勝手に残業してもよいのでしょうか。ここでは、法律や契約の観点から派遣社員の残業について解説します。

基本的には派遣元の就業規則に従う

まず、日本の法律において労働時間については正社員や派遣、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、基本的な規則が共通しています。

具体的には、「1週間に40時間、1日8時間を超える労働をさせてはいけない」と労働基準法で定められています。法定労働時間を超える労働を行うには、労使協定を結ぶ必要があります。

労使協定は、時間外労働や休日労働の時間数を1日、1か月、1年の区切りで定めたもので、企業はこれにもとづいて残業を命じることができます。しかし、取り決められた時間を超える残業は、雇用形態にかかわらず違法です。

また、派遣社員の場合、労使協定は派遣先企業ではなく、派遣元の派遣会社と結ぶため、派遣社員は派遣会社の就業規則に従うことになります。つまり、派遣会社が定める労使協定が存在しない場合、派遣社員は時間外労働をする必要はありません。

労使協定が存在しない状況で時間外労働を強要されることは法律違反であり、派遣社員には拒否する権利があります。

派遣社員は残業しなくてもよい?

派遣社員が残業をしなくてもよい場合は、契約書に「残業なし」と明記されているときです。

この場合、たとえ派遣先で残業を強要されたとしても、契約に基づいて拒否できます。契約書に時間外労働について明示されていない場合も同様です。また、労使協定が存在する場合でも、定められた時間を超える残業を強要されるのは違法です。

一方で、契約書に「時間外労働あり」と明記されている場合は、残業を指示されたら基本的には断れません。ただし、1日や1か月の規定時間を超える残業や、業務上必要でない場合の残業命令は拒否できます。

サービス残業、つまり賃金が支払われない残業は明確に違法ですので、すぐに派遣会社や労働基準監督署に相談しましょう。

派遣社員の残業手当について

派遣社員の残業手当は、正社員と同様に、労働基準法に基づいた割増賃金が適用されます。

2020年4月に施行された「同一労働同一賃金」ルールにより、雇用形態に関係なく、同じ業務を行っているのであれば、同じ残業手当が支給されることが定められました。同一労働同一賃金ルールにより、派遣社員も正社員と同じ条件で残業手当を受け取る権利があります。

残業代の計算方法

時間外労働(残業)に関しては、労働基準法第37条により割増賃金のルールが定められています。

法定労働時間とは、1日8時間、週40時間と定められた労働時間のことを指します。したがって、これを超える労働が発生した場合には、割増賃金が支払われる義務があります。たとえば、時給1,500円の契約で働いている場合、残業時間の賃金は1,500円×1.25=1,875円/時間となります。

深夜割増について

残業時間が22:00から5:00の深夜帯にかかる場合は、追加で25%以上の割増賃金が適用されます。

深夜割増は、深夜労働が通常の労働に比べて労働者にとって負担が大きいと考えられるためです。雇用契約書には、残業手当の計算方法や支払条件などが明示されているため、派遣社員は自分の契約内容をしっかりと確認するのが重要です。

深夜割増により、深夜の残業手当は合計で50%の割増賃金となり、時給1,500円の場合、1,500円×1.50=2,250円/時間という計算になります。

残業を回避するには?断るコツを解説!

派遣社員として働いていると、残業を依頼される場合があります。

残業は契約条件や法律に基づいて行われるべきですが、どうしても避けたい場合もあるでしょう。ここでは、残業を回避するための方法と上手な断り方を解説します。

残業をしなくて済むよう事前にやっておくこと

まずは、就業規則を確認し、残業に関する取り決めを把握しましょう。

就業規則で時間外労働が認められていない場合は、残業を拒否する正当な理由となります。残業の雰囲気を察知したら、終業間際ではなく、早い段階で「本日は残業できません」と伝えるのが重要です。このとき、残業できない理由を具体的に説明するのも効果的です。

急な依頼に備えて、「本日は家庭の事情で残業ができません」と前もって報告すると、スムーズに断れます。もちろん、そもそも残業をしなくて済むように、業務時間内に業務を効率的に進め、定時までに仕事を終わらせるのも大切です。

定時に業務を完了していれば、残業を強要される可能性も少なくなるでしょう。

残業を断るコツ

緊急性がなさそうな残業依頼には、まず上司の気持ちに共感し、自分も仕事の進捗が気がかりだと伝えたうえで、「明日の方が効率的に進められると思います」と提案すると、残業を回避できます。

もしどうしても残業が断れないときは、できる範囲で対応するのも手です。「今日はここまで作業するので、続きは明日対応させていただきます」と報告して対応すると、できる範囲で精いっぱい対応してくれたと好印象を与えられます。

また、不必要な残業を強要されたときは、派遣会社に相談しましょう。派遣会社は、派遣社員の労働環境を守る責任があります。改善されない場合は、労働基準監督署に相談するのも視野に入れてください。

まとめ

派遣社員は派遣元の契約内容や労使協定に従いつつ、法律にもとづいて残業の拒否権を行使することが可能です。残業を断った結果派遣先での信用に影響が出る可能性はありますが、正当な理由があれば残業を断れます。体調不良や家庭の事情、妊娠や産後の一定期間などの理由がある場合、残業を強いられることはありません。また、仮に残業することになっても正社員と同じ残業代が支払われます。派遣社員として働くなら残業に関する取り決めや断り方を正しく理解し、ストレスなく働くのが大切です。くわしくは派遣会社との契約内容をよく確認し、必要に応じて適切な対応を取りましょう。

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